新作を巡って

Tsuda Nao in Blog 2009.04.12

軽井沢での展覧会を前に制作もいよいよ最終段階に入った。
プリントの上がりを額装へ。17日の内覧会まであと5日だ。順調に進んでいる。
ここで制作の話を少しすると、撮影は先日訪れたドイツの森で行った。
そこはCalwという小さな村で、小説家のヘルマン・ヘッセが育ったところ。
僕が村に入った時は陽も沈んだ時間だったので、
辺りの景色はほとんど見えていなかったのだけど、
翌朝の目覚めと共に通りに飛び出してみたら
そこは坂道の下で緑と小さな山小屋風の家々に囲まれた美しい場所だった。
山から下りて来る冷たい風を吸い込むように登り、森に入った。
小さな峠を幾つか登り、振り返ってみると村が一望出来た。
まるで屋根に登った子供のようにしばらく降りることが出来なかった。
今日、移動中の電車で読んだヘッセの詩を一遍紹介したい。
「春のことば」

どの子どもでも知っている。
春の語ることを。
生きよ、伸びよ、咲け、望め、愛せ、喜べ、新しい芽を出せ、
身を投げ出し、生を恐れるな!

どの老人でも知っている。春の語ることを。
老いたる人よ、葬られよ、
元気な少年に席をゆずれ、
身を投げ出して、死を恐れるな!

(『ヘッセ詩集』高橋健二訳 新潮文庫より)

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