「東北の底力、心と光」を観に。
ブータンから帰ってきて2週間が経ち、ずっと移動が続いた
身体もようやく落ち着いてきました。
先日津田さんと、六本木ミッドタウン内にある
三宅一生さんがされている21_21 DESIGN SIGHTで行われていた
「東北の底力、心と光。『衣』三宅一生」展を観に行ってきました。
安藤忠雄さん建築の展示空間には、1970年代ころから三宅一生さんが
関わって共に服を作り上げてきた衣装や東北各地の様々な織物が展示されていました。
初めてISSEY MIYAKEのプリーツ・プリーズシリーズの服が出来上がる
行程をビデオで見ましたが、おじさんやおばさんが2人で絞り上げた布を
熱々の蒸気の中で蒸す、という驚愕の作り方でした!
まさに職人にしか出来ない意地とプライドとどこまでも美を追求する
デザイナーが合わさって出来上がった一着なのだと感動しました!
その他、青森のこぎん刺しや宮城の白石和紙で作られた紙衣という服など、
出来上がった布(服)は見とれてしまうような美しさでしたが、
それを田舎のおばあちゃん達が一針一針塗って作っているところを想像すると
夏場の繊維の収穫から冬場の織る作業まで本当に時間と気持ちが込もったものだなぁ、
とますます作られたものに対する親しみが沸きました。
また実際に東大寺のお水取りで着られた紙衣も展示されていて、
あんなに火をたくさんつかうところで紙の衣装で大丈夫なのか!と驚きましたが、
しっかり裏地もつけられ丈夫にできていました。
出口付近に展示されていたパネルで今回のディレクターの1人である
佐藤卓さんが心に響くことを刻んでいました。
宮沢賢治の詩にも出てくるように東北の人達は、辛抱強く、
身体が丈夫で、穏やかな表情で、優しくて謙虚。
そんな彼らから生み出されてゆく手間ひまのかかる伝統的な手仕事の姿さえも
合理性や便利さ優先の現代社会が徐々に変えていってしまっている現実がある、
というようなことを書かれていてとても考えさせられました。
1週間という短い展示期間でしたが、今も受け継がれている東北の伝統文化に
我々を出会わせ、東北と私達を近づけてくれるような記憶に残る展覧会でした。
- 葉月の終わりに
- ブータンを抜け北インド、そして明日へ