葉月の終わりに

Tsuda Nao in Blog 2011.08.31

8月に入ってからも動き回っていた。
フィールドワークでは諏訪を訪れた。
長野、山梨辺りは歴史を紐解くと今でもミシャグジなど道祖神や
土着の信仰が根付いているので、興味深い聖域が各所に点在している。
加えて縄文文化においても多くの遺物が発掘されており、尖石遺跡・縄文
考古館や井戸尻考古館はいくら時間があっても飽きることのない場所だった。
ここでは蛇信仰の原点かと思えてしまうくらい、素晴らしい土器を
数点見ることも叶った。それだけで来た甲斐は十分にあった。




帰路、知人が山梨のTraxにて展示を行っていたので立ち寄った。
緑に囲まれたギャラリーは呼吸がちっとも息苦しくないので、
深く吸い込むことが出来る。本来、モノを見たり、触れたり、
作ったり、交ざり合うためには余白の領域が意外に必要。
それは空白ではなく、空=そらのような空間として僕らを無邪気に解放してくれる。
一本の樹ですら重なり合うことは互いを侵すことのはじまりな訳で、
風通しの良い程度が成長への道をより育む。


山梨にある清里フォトアートミュージアムも心地良い場所に佇む美術館で
「グレート・スピリット」展を観に行った。
ここでも都会では味わうことの出来ない緩やかなひとときに時を忘れ、過ごした。
展覧会ではエドワード・カーティスのネイティブアメリカンを辿った
ポートレイト群が際立って美しく、プリントを眺めながら被写体となった人の
生きていた時間を想いながら、一枚一枚をゆっくりと歩みながら見て回った。

横浜に戻ってからは、連載や新聞の原稿書き、新作へ向けて暗室作業、
秋に控えている展覧会の準備などを進めている。
まだ構想を練っている段階ではあるが、ようやく先週から新たな輪郭が見え始めた。
本当はこのまま暗室にこもって制作とゆきたいところだが、明日から少し旅に出る。
夏が終わる前に再び亜熱帯へと向かう。
帰国したら関西にて二つのイベントが待っている。
ブータンのイベントはなかなか面白いことになりそうだ。
西ブータンから東ブータンへ、更に北インドへと向かう道で覚書のように撮った、
写真をスライドで流します。
ご興味のある方は是非!

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