アウターアイランズ
ヨーロッパ最西端に浮かぶアウターアイランズへの旅を終え、
ようやく九州へ戻ってきた。
この旅で目指した場所は古代遺跡の点在するスコットランド北方の島々。
二年前に何度かアイルランドを旅した際にも、地図の端に見えていて
ずっと気になっていた地域だ。
だから「いつかこの群島へは渡ることになるな」と、自分の性格を知りつつどこかで
分かっていたつもりだったが…予想に反して早く実現することになったのだった。
加えて直前までも国内移動が続いていたので、準備は十分とは言えない
出発ではあったが、旅立ってしまうとそんなことは言っていられず、
いつものように体力の限り動き回り、アウターアイランズの
島々の空気を思いっきり吸い込みながら一ヶ月近く過ごした。
イギリス本土へは空路にて到着し、起点となったエディンバラからは車に
乗り換え、島へは船で渡り、足がない時は歩くといういつものシンプルな行程。
時には船内で泊まり、セスナで移動したこともあったが、窓のある乗り物は
かろうじて苦にならなかった。
辺境の地において世界の入口と呼ばれるものは、我々が普段
暮らしている都会の規模に比べると、小さな入り口であることが多い。
だからある種の人々にとって、扉そのものが見えなかったり
(「ここは不毛の地だから、何もないねー」と言う人が居たり)もする
訳だが、一旦古き時代から受け継がれた扉を探すことが出来れば、
その先に想像もしていなかった大きさの窓に出会い、
世界を今までと違った視点で眺めることが出来たりもするのだ。
今回も日々そんな出会いに導かれながら、
僕は異郷をぐるぐるとひたすら歩き回っていた。
さすがに離島への移動の時は荷物も吹っ飛ぶ程に海が荒れ、
えらい目にあったりしたけれど、そこでも過ぎゆく窓景が居場所となり、
大海原の向こうにいよいよ島影が浮かび、遠くの入り江が近づいてくると
足の疲れなど吹き飛んでいった。
ここでの経験がどこへ繋がってゆくのかはまだ分からないが、8月には
関東にて個展を控えているので、そこで写真をまとめて見せることが出来ると思う。
帰国してからは東北・秋田にて個展を開催した。
遠くまで対談を聞きに来て下さった皆様、個展へ来て下さいました皆様、
ありがとうございました。
縄文文化を舞台とした新作への試みはまだまだ始まったばかりです。
トラベル・ライフスタイル誌「PAPER SKY」では縄文フィールドワークの
連載も書いているけれど、本当はもっと日本の奥地へ誘いたい。
東北はあらゆる意味で文化の宝庫と言えるし、
受け継ぎ残してゆきたい習俗に溢れている。
つまりエネルギーが集まっている地域ということ。
だから今後も通い続けたい。
そう言えばちょうどGW頃に写真家の浅田政志君、雑誌のクルーと
秋田で偶然出会い久し振りにご飯へ行った。
彼らも僕とは違った視点で東北を歩き、ガイドブック?を作っているらしかった。
そっちはそっちで東北への新たな試みとして楽しみだ。
久し振りの近況報告となりまとまりもないが、6月8日からは
タカ・イシイギャラリー京都にて個展「REBORN」がはじまります。
初日には夕方からオープニングもあるのでお近くの方は是非ギャラリーへお越し下さい。
僕も会場に居る予定です。
続いて、6月中旬からは東京でも二人展(華雪×津田直)がはじまります。
詳細は出来るだけ早くNEWSでも紹介するようにします。
こちらは会期中にイベントも予定しています。決まり次第告知します。
そんなことで今週からすでに今夏の展覧会準備へ向けて制作の日々がはじまっている。
しばらくは九州・関東・関西を行ったり来たりだな。
- ラップランドで迎えた初夏
- 拠点を移して