『近づく』増補版 刊行予定!

Tsuda Nao in Blog 2009.07.14

名古屋での個展をオープンさせて一旦横浜へ戻って来ている。
関東も梅雨が明けたようだ。
空気は湿っているが、窓を開けると気持ちのよい風が抜ける。

今日は今夏に増補版として刊行予定の本『近づく』
(AKAAKA+hiromiyoshii)の編集作業をしている。あと一歩で纏まるところだ。
とても小さな一冊だが、僕にとっては思入れの深い作品集。
初めて作った本だからというのもあるが、大学卒業後からわずかなバイト代を稼いでは、
日本国内を幾つもの旅を重ねて続けてきたシリーズだから
光景が脳裡に刻みこまれている。歩いた道なき道も良く覚えている。
それに撮影は霧の立ちこめる山道を進むことが
多かったこともあり何度となくルートを失い遭難寸前のこともあった。
そんな時ヘッドライトは多くの役を果たしたし、
火山地帯を通っている時には風をよむ癖が妙についた。
自然の中を歩いている時は今でもそうだが、
見えない一本の線を引きながら前進しているようなところがある。
だから過ぎ去った道を失うことはないように気をつけている。
それでも線は時折切れる。そんな時に位置を記憶に刻む必要がある。
つまり遠景の目印と近景の目印の二つを記憶する。
いま編集作業をしながらページをめくっていても、そんなことばかりが思い出される。
見ること、歩くこと、近づくこと。
そのためだけにもう一度踏み込もうと思い、
未発表作品を新たに収載することを決めた。
8月にはお届け出来ると思うので是非書店で手に取って欲しい。

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