絵に描いたような一日
夏に発表予定にしている新作のために取寄せた本や資料を読んでいる。
幾つかの本を片手にしていると不思議な思考回路が出来上がってゆく。
スピードは早ければいいというものではないが、
20代の頃には出来なかった技が今は使える。忙しい時に隙間を作ること。
そういうことに才能を発揮出来ることが最近になって重要だと思う。
そう言えば数日前、考えていることがノートで収まりきれないと分かったので
引越しで使った段ボールを裏返してマジックで書き込みノート代わりにしてみた。
程よいサイズで考えることは案外大事だったりする。
進まないプロジェクトがあったら、部屋を模様変えして、
机をいつものと変えて、ノートの大きさも変えてみたら、
すんなり事が運んだことは今までにも何度とあった。
自分の頭の中と、部屋のあれこれって似ていると思う。
みんなも部屋の中をちょっと変えてみたら良いことがあるかもしれない。
また海が見たくなって、昨日は海で本を読んだ。
数日降った雨が洗い流したものがきっとたくさんあって、
空気がいつもより澄んでいた。
江ノ島の木の一本一本の色の違いまで良く見える。
眼が良くなったみたいで美しかった。
アシスタントのさおりちゃん(そろそろblogでも紹介したいなと思ってたんですが、
僕のアシスタント東さおりを次回皆さんにも紹介します!)に
「ここの海では何歳くらいの人までがサーフィンをしている?」
と聞いたら、ある爺さんと孫の話をしてくれた。
海では言葉はそれほど重要じゃないということを絵に描いたような話だった。
しばらく本を読んでいて、ふと足音の先を見てみると、
陽に焼けた爺さんと子犬と小学生くらいの子供が海へ向かい歩いて来た。
少年は小さな白いサーフボードを抱えていた。
正夢のように時間は流れ、「さっき話していた爺さんだね」とさおりが言った。
帰り道、空はまだまだ絵を描き足りないようで、
一本の虹を僕らの頭上にかけた。
- Gold
- 海の幸から