2年の歳月の先で

Tsuda Nao in Blog 2013.03.14
東日本大震災から2年となる、2013年3月11日。
この日は仕事の手を一旦止めて、「今を」そして「これからを」考える一日に
しようと思い過ごした。
福岡は朝から陽が差し天気が良く、東北に比べると気温も上がり暖かい日となった。
普段は見ないテレビをつけ、新聞を二紙買ってそれぞれ目を通す。
震災後2年を迎えた各地の現状を伝える映像は、各市町村それぞれで
難航している復興状況を報道するとともに、人々のまだまだ癒えぬ傷の深さを
十分に感じさせるものがあった。

その中で奮闘する人々の顔は実に様々だったが、たくさんの声とともに
その姿を見ることができたのは良かったと思う。
変わり果てた光景をただ遠くに眺めるだけの日常では、
そこに暮らす人々の今日は見えてこない。
だが、想像の及ばないような陰はもっと奥に潜み、人々を苦しめているに違いない。
その不安と不満の入れ交じった何とも言えない、人間の表情こそ
「今を」物語る現実の姿であり、僕たちが想いを寄せなければならない
場所の一つだと思う。
僕は個人的に被災した経験のある神戸とその復興の日々を思い出しながら
東北の「今を」想った。
そして、ここからどの程度のことが見えているのだろうかと
あらためて自分を疑ってみたりした。

話は少し遡るが、その二日前まで僕はフィリピンに滞在していた。
開催中の展覧会に合わせ開かれた講演会のためにマニラへ出向いていたのだ。
およそ二時間に渡るトークを写真評論家の飯沢耕太郎氏と二人でおこなってきた。
その主旨は、震災以前の「東北」を語るというものだった。
言ってみれば大震災以降「東北」とは、傷ついた町のイメージばかりが
世界に届けられてきた訳だ。
けれど、それではその土地に生きる人々の本来の姿が伝わらなくなってゆくのでは
との懸念から、国際交流基金が主催している海外巡回展「東北―風土、人、くらし」
が立ち上げられ、僕も参加している。
この展覧会は昨年度のローマ展、北京展を事始めに、オーストラリア、中国、
マレーシア、インドなどの各都市をすでに巡り、現在はフィリピン国立博物館にて
今月の17日まで開催されている。




3月9日に開催されたトークイベント会場では、マニラの若き学生達にも
たくさん出会い歓迎を受けた。
限られた時間ではあったが、縄文文化や古来より受け継がれている習俗などを
スライド投影しながら紹介し、「東北」の底力を知ってもらう良き機会となった。
トーク終了間際には、多くの質問が寄せられたこともあり、
こちらも言葉に力を込めることができた。
その後も温かいメッセージを届けてくれたフィリピンの皆様、ありがとう。
又、必ず会いにゆきます。

この10日間を振り返っても奄美大島、沖永良部島、東京、マニラ、
そして福岡とかなりハードワークとなったけれど、南方の取材は来月くらいには
ウェブや誌面でまとまって記事として上げることができると思います。
お楽しみに!

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